パラレルワールド・ラブストーリー/文庫

東野圭吾が挑むパラレルワールドストーリー。山手線と京浜東北線、両列車にはほぼ同じスピードで並走する区間が存在する。山手線を利用している主人公の敦賀崇史は大学時代、向かいの京浜東北線を利用している女性に恋心を抱く。やがて大学を卒業し、アメリカにあるコンピュータメーカーのバイテック社に入社した崇史はある日、同じくバイテック社に入社していた中学時代からの友人である三輪智彦から「彼女ができたので紹介したい」と告げられる。足の不自由な智彦に彼女ができたことをまるで自分のことのように喜ぶ崇史だったが、紹介された女性は彼が大学時代に恋焦がれていた『京浜東北線の彼女』、津野麻由子だった。麻由子と智彦と同じ職場で働くこととなり、嫉妬に苦しむ毎日を送る崇史だったが、ところがある朝目を覚ますと麻由子は自分の恋人として自分の隣にいた。――親友の恋人を手に入れるために、俺はいったい何をしたのだろうか。「本当の過去」を取り戻すため、「記憶」と「真実」のはざまを辿る敦賀崇史。錯綜する世界の向こうに潜む闇、一つの疑問が、さらなる謎を生む。精緻な伏線、意表をつく展開、ついに解き明かされる驚愕の真実とは!?　1996年「このミステリーがすごい！」入賞の傑作長編ミステリー！